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- 2017.03.08
地球磁場の国際標準モデルであるIGRF(International Geomagnetic Reference Field)モデルは、国際地球電磁気学会(IAGA)の第5分科会(Division V)・地磁気モデル作業委員会(Working Group V-MOD: Geomagnetic Field Modeling)により、5年ごとに新しいバージョンが発表されることになっています。現在の最新版である第12世代(12th generation)は2014年12月に発表され、それに関する論文の特集号がEPSで2015年に組まれました。
International Geomagnetic Reference Field - The Twelfth generation
特集号要旨集
その中でも特に中心となるのは、Thebault et al. [2015]の論文で、IGRF-12モデルを作成するにあたって用いられた地磁気データの種類やモデルの作成プロセスが解説されています。今回は50か国170か所の観測所およびCHAMP衛星、Ørsted衛星、SAC-C衛星、Swarm衛星のデータが使われました。日本からは、柿岡・鹿屋・女満別・父島・江刺・水沢・鹿野山・八丈の8つの観測所がモデル作成のためにデータを提供しています。IGRF-12モデルの作成は、候補モデルを募集することから始まります。2014年5月に発出された募集に対して、10組の研究グループからモデル(ガウス係数)が提出されました。作業部会は、それらを精査して重み係数を決定し、重み付き平均を取ったものが最終的にIGRF-12モデルとなります。このモデルは、1900-2010年の確定ガウス係数、2010-2015年の暫定ガウス係数、2015-2020年の外挿用年変化値からなっており、上記論文には、これらのガウス係数一覧表やそれを用いて作成した全球磁気図、磁極移動図などが掲載されています。図はその一例で、IGRF-12モデルによる2015年の偏角図を示しています。
ガウス係数のダウンロードやFortranによる計算プログラムは、地磁気モデル作業委員会のホームページからダウンロードできます。また、web上で計算を行うサービスは、米国・NOAA/National Centers for Environmental Information や英国・British Geological Survey、日本・京都大学・地磁気世界資料解析センターなどから提供されています。
IGRF-12モデルを論文などで使われた際には、上記の論文の引用をよろしくお願いいたします。
以下の SpringerOpen blog の記事もご参照下さい。
International Geomagnetic Reference Field: An effort of standardization of the Earth’s magnetic field every five years